ジェネリック医薬品のすべて|先発薬との違い・適応・AG・薬不足問題を解説
病院や薬局で薬を受け取るとき、「ジェネリック医薬品に変更しますか?」と聞かれることが増えました。
ジェネリック医薬品は「先発薬と同じ成分で安い薬」と説明されることが多いですが、本当に同じ薬なのでしょうか。
この記事では、ジェネリック医薬品の仕組み、先発薬との違い、適応の違い、オーソライズドジェネリック、そして近年問題となっている医薬品不足まで、分かりやすく解説します。
ジェネリック医薬品とは何か
ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、先発医薬品の特許が切れた後に販売される薬のことです。
新しい薬は開発した企業が特許を持つため、一定期間はその会社だけが販売できます。
しかし特許期間が終了すると、他の製薬会社も同じ有効成分の薬を製造できるようになります。
このとき発売される薬がジェネリック医薬品です。
ジェネリックは本当に同じ薬なのか
よく「ジェネリックは先発薬と同じ薬」と言われますが、厳密には完全に同一の薬ではありません。
同じなのは有効成分です。しかし次のような部分は異なることがあります。
- 添加物
- 製造工程
- 錠剤の硬さ
- 溶け方
- 色や形
つまり、有効成分は同じでも薬としての設計はメーカーごとに異なる可能性があります。
生物学的同等性試験とは
ジェネリック医薬品は「生物学的同等性試験」という試験によって先発薬との同等性が確認されます。
この試験では、先発薬とジェネリックを服用した際の血中濃度を比較します。
一般的には、血中濃度の指標が先発薬の80〜125%の範囲に入れば同等と判断されます。
この基準は世界的に使われていますが、この範囲内であれば多少の差が存在することも事実です。
ジェネリックは適応症が違うことがある
あまり知られていませんが、ジェネリック医薬品は先発薬と適応症(効能・効果)が完全に一致しない場合があります。
その理由の一つが「用途特許(適応特許)」です。
薬には成分そのものの特許だけでなく、「特定の病気に使用する用途」に関する特許が存在することがあります。
もしその用途特許がまだ残っている場合、ジェネリック医薬品はその適応を除いた形で承認されることがあります。
これを部分適応と呼びます。
オーソライズドジェネリック(AG)とは
ジェネリック医薬品の中には「オーソライズドジェネリック(AG)」と呼ばれるものがあります。
AGとは、先発医薬品メーカーから許可を受けて販売されるジェネリック医薬品です。
多くの場合、添加物や製造方法が先発薬と同じであるため、実質的に先発薬と非常に近い薬といえます。
ジェネリック医薬品が安い理由
ジェネリック医薬品が安い最大の理由は、研究開発費が少ないことです。
新薬の開発には10年以上の研究期間と数百億円から1000億円以上の費用がかかるとされています。
ジェネリック医薬品はすでに有効性や安全性が確認された薬を基に開発するため、コストが大幅に抑えられるのです。
日本でジェネリックが推進される理由
日本政府は医療費抑制のため、ジェネリック医薬品の普及を推進しています。
日本の医療費は年間45兆円を超えており、高齢化に伴ってさらに増加することが予測されています。
ジェネリック不祥事と薬不足問題
近年、日本ではジェネリックメーカーによる品質問題や製造不正が相次ぎました。
その影響で多くの医薬品が出荷停止となり、医療現場では深刻な薬不足が発生しました。
現在も多くの医薬品で供給不安が続いています。
薬剤師としての結論
ジェネリック医薬品は、日本の医療制度を支える重要な存在です。
多くの患者にとって、安全性や効果に大きな問題なく使用できる薬であることも事実です。
しかし同時に、次のような点も理解しておく必要があります。
- 有効成分は同じでも完全に同一の薬ではない
- 適応症が異なる場合がある
- 品質問題や供給問題が起きたことがある
つまり「ジェネリックは危険」という極端な見方も、「完全に同じ薬」という説明も、どちらも正確ではありません。
医師や薬剤師と相談しながら、自分に合った薬を選択することが重要です。
参考文献・出典


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